2021/06/08 梅干しの歴史

六月上旬は青梅が収穫できる時期です。それを塩漬けにした「梅干し」の歴史は古く、かつては食用以外にも用いられてきました。

平安時代中期の日本最古の医学書『医心方』には「熱と煩満を除き、精神を安定させ、手足、身体の痛み、半身不随やマヒ、囗が渇くのを止める」とあり、梅の実を塩漬けや燻製にした物が薬として用いられたことが書かれています。

その薬効を物語るかのように、平安時代に村上天皇が梅干しで病を治したという言い伝えがあります。その梅が申年に採れた梅だったため「申年の梅」は縁起物とされ、現代にも受け継がれ、人に贈る習慣があるようです。

戦国時代の武士たちは、日持ちがよく嵩張らない梅干しを携帯食や薬として愛用しました。梅干しが庶民に浸透したのは、江戸時代になってからといわれます。

現代を生きる私たちが当たり前に囗にする食べ物も、それぞれが歴史を持ち、それに根差した文化があります。一つの食材の歴史や文化を知ることは、その物の味わいを深めることにもなるでしょう。

今日の心がけ◆食への関心を深めましょう