2019/09/13 月明かり

Yさんの実家では、中秋の名月の時期になると、母親が作った団子を食べながら月を眺める「月見」の行事を行なっていました。家中の電気を消して、窓から差し込む月明かりの明るさに、幼いながら、深く感動したといいます。

ある日、そのことを思い出すきっかけがありました。Yさんが、漢文学者である故・白川静氏の「明」の字の由来の文章を読んでいた時のことです。

白川氏によると、「明」は、もとは「朙」と書かれていたといいます。左側の「囧(けい)」は部屋の窓を表わし、これに「月」を組み合わせて、月の光が窓から差し込んで、明るく照らす様子を表わしたのがこの漢字の由来だということでした。

Yさんは、太陽を表わす「日」と、お月様を表わす「月」を合わせて「明」だと思っていましたが、幼少時の月明かりの感動が、この説明から甦ったのです。

「月見」は、中国の風習が起源となり、平安時代に日本に伝わったとされています。先人たちが大切にしてきた慣習と、漢字の由来など、そうした面白さに思いを馳せて月を眺めれば、風情がさらに増すのではないでしょうか。


今日の心がけ◆物事の由来を調べてみましょう